【本の感想】「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」を読んでの感想
こんにちはばーしーです。
「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」を読みました。
読んだきっかけ
「嫌われる勇気」は2年前くらいに買って読んでいました。買ったきっかけは、「嫌われる勇気」というセンセーショナルな題名。当時、仕事が行き詰まっていて、やさぐれていた時期だったので、この題名にひかれました。
最初は「人に嫌われても関係ねー!ガンガン行こうぜ!!」という本だと思って手に取ったのですが、中身は全然違っていて、ドラクエ風に言えば「みんながんばれ」か、自分に対して「めいれいさせろ」ってイメージ。それでも、文章にひきこまれて購入。一気に読んで、感銘を受けて友達にも貸しました。
「幸せになる勇気」は「嫌われる勇気」の続編です。「嫌われる勇気」に感銘を受けていたので、こちらも購入。これも一気に読めました。ただ、もう「嫌われる勇気」の内容を忘れていたので、「嫌われる勇気」も読み直してみました。読み返してみると、「幸せになる勇気」の後ということもあり、また、最初に読んでから2年間の自分の変化もあり新しい発見が随所にありました。(あと3回ずつくらい読んでも理解しきれないかもしれない)
今回の「幸せになる勇気」は、最後に愛 についてアドラー心理学からの見解が述べられています。普段、ちまたで見かけるような恋愛や結婚観とは全く違う愛の話は新鮮で面白かったです。
曰く、「愛は落ちるものではない」「(まだ出会っていない)運命の相手などというものは存在しない。出会いが無い、運命の相手と巡り会っていないというのは、逃げである」。この愛の項目に関しては完全に同意ではないけれど、真実をついていると思います。
内容(ネタバレあり)
本の概要
「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」は共にアドラー心理学に関する本です。どちらも、「青年」と「哲人」の2人が登場します。「世界はシンプルで、人は誰でも幸せになることができる」と説く「哲人」と、「哲人」を論破せんとする「青年」の会話形式で物語が進んでいきます。この物語の中でアドラー心理学とは何か、人は幸せになるためにどうしたらよいかという話が事例を交えて展開していきます。
登場人物
哲人...アドラー心理学の研究者。元々はギリシア哲学を研究していたが、その中で出会ったアドラー心理学に影響を受けアドラー心理学の研究を始める。青年の様々な質問にアドラー心理学(他哲学)の見地から答えていく。
青年...哲人を論破しようと哲人の書斎を訪ねてきた。基本ネガティブで、わりとうじうじしてる。かなりこじらせた見地から様々な質問を哲人に投げかける。
登場人物の青年はわりと好青年ではなく、ネガティブで、コンプレックスを抱えており、今の生活もうまくいっていないという立場です。この状態で「世界はシンプルで、人は誰でも幸せになることができる」と説く哲人の書斎を訪ねる。しかも相手を論破するためだけに。そして最後にはアドラー心理学に納得して人生の転換を図ります。
アドラー心理学に関しての感想はまた後半で書きますが、
この青年。
危ない宗教にハマる人ってのはこういう人なんだろうなー
というものを見事に体現してくれています。
なかなか愛すべきキャラです。
アドラー心理学
アドラー心理学は、アルフレッド・アドラーによって提唱された「個人心理学」です。人の全ての悩みは「対人関係の悩み」であるとし、個人としての「自立」と「共同体感覚」を奨めます。「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」を何度か読み返してみましたが、なかなかつかむことが難しい概念です。
共同体感覚...人の関係を縦の関係(上下関係)でとらえるのではなく、横の関係(並列の関係)でとらえること。他者との関係を仲間ととらえ、共同体の中で自分が存在していてもいいんだという感覚。共同体に対して自分が積極的に他者に貢献しようと関っていくことで得られる感覚のことです。
自立...アドラー心理学で言うところの「自立」は、自分の価値を自分で決定すること。他人から褒められる、他者からの賞賛を受けることに固執する「承認欲求」では人は幸せになれない。自分が他者に対して価値がある、貢献しているという貢献感によって自分の価値を自分で決めることが自立であるとします。
他人と違うと思いたい、自分に特別な価値があると思いたい。自分は特別な存在なんだと思いたがっている限り、人は幸せにはなれない。
他の人から認められないと自分の存在が揺らぐのではなく、普通な自分、その他大勢な自分を受け入れること。そのなかで自分が他者に対して貢献しているという貢献感を持つことを自立としています。
アドラー心理学はこの2つを主軸としています。
この「共同体感覚」「自立」に至るために、「原因論ではなく目的論」「課題の分離」「問題行動の5段階」「信頼と信用」などの紹介があります。
この2冊を読んでいない人からすると多分、なんのこっちゃという感じですよね。
作中では青年が、読者が感じる疑問を哲人にぶつけてくれています。
その中で、哲人からは、トラウマなど存在しない、自分の課題と他者の課題を切り分ける、教育は叱っても褒めてもいけない、承認欲求の否定、愛は落ちるものではないなど、今まで耳にしたことの無い説が次々と出てきます。青年は、読者の期待に応えそれにいちいち反発するのですが、最終的にはなるほどと納得できる説明が待っています。
いくつか紹介したいと思いましたが、素人の浅知恵で例を挙げると人を傷つけてしまう内容になりそうなのでやめておきます。本の内容も、ちょっと心が疲れている人が読むとダメージを受けるかもしれません。落ち着いた状態で読むことをお勧めします。
個人的に好きな話は、自分の課題と他者の課題を切り分ける、教育は叱っても褒めてもいけないのところです。前者は「嫌われる勇気」で、後者は「幸せになる勇気」で詳しく説明されています。
感想
この2冊は今まで自分には無かった視点を教えてくれました。様々な悩みは全て人間関係に端を発しているというのも、この2冊を読むと納得です。ただ、この本に書いてあることの実行は確かに勇気、それも多大なる勇気が必要だと感じました。本の中では軽く触れられている程度(わたしはそう感じた)ですが、この話の中では、「他者との関係を断ち切るはさみは常に自分にある」という言葉が出てきます。本全体の話としては、自分が所属する共同体の中で仲間と感じる人たちと共に歩むこと。誰にも依存せず、誰からも依存されず、協力関係を築いていくことを目標としていますが、当然、それに当てはまらない人も世の中には存在しています。自分の仲間とは感じられない人が現れたとき、仲間としての関係を築けないと感じた時には、おそらく関係をバッサリ切る。相手に嫌われようと、そこはきっちりと切ることも含まれているのではないかと思いました。3冊目が出ることがあるかどうかわかりませんが、次回がもしあるのであれば、どうやっても相容れない人との関係性を、この哲人と青年がどのように話していくのかを読んでみたいと思いました。
この2冊を読んで、アドラー心理学の考え方には納得ですが、一方、妄信すれば危ない宗教になりかねない内容でもあると思いました。実際に自分が暮らす社会の中で取り入れられるところは取り入れ、取り入れられないところを無理に取り入れすぎないように気をつけるべきだとわたしは感じました。
最後にストーリーをご紹介
ストーリー
「嫌われる勇気」...嫌われる勇気ではかなりこじらせた青年が哲人の書斎を訪ねます。目的は哲人を論破すること。青年は哲人に様々な質問(基本ネガティブ)を投げかけ、哲人の論理の矛盾点をつこうとします。哲人は青年の様々な質問にアドラー心理学(他哲学)の見地から回答していきます。会話の中で青年は自分に新たな一歩を踏み出す勇気が足りていないことに気づき、その一歩を踏み出すことの恐怖を理解しながらも変わることを決意します。
「幸せになる勇気」...嫌われる勇気で一歩を踏み出し、教職を得た青年が、現場での子どもとの関係を経てアドラー心理学を捨てる決意をし、哲人の書斎を訪ねます。子どもへの教育という課題を通じて、「愛と尊敬」というテーマからアドラー心理学の見解が展開されていきます。嫌われる勇気よりもより実践的な内容と感じました。また、これから自分に子どもができた時には何度も読み返してみようと思います。
長くなりましたが、以上、「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」を読んでの感想でした。
では。